プロサッカー選手 | 長澤和輝 (KAZUKI NAGASAWA) |
身長/体重 | 172cm/70kg |
現所属チーム | 名古屋グランパス(2022年現在) |
経歴 | ちはら台SC→三井千葉サッカークラブジュニアユース→千葉県立八千代高校→専修大学→1.FCケルン(ドイツ)→浦和レッズ→ジェフユナイテッド市原・千葉→浦和レッズ→名古屋グランパス |
ポジション | MF(ミッドフィルダー) |
生年月日 | 1991年12年16日 |
出身地 | 千葉県 |
Instagram @nagasaman1216 (https://www.instagram.com/nagasaman1216/)
Twitter @nagasaman1216 (https://twitter.com/nagasaman1216 )
THE BUILD Media(ザ・ビルドメディア)が体づくり・健康をはじめとしたウェルネスライフに関心を持つ全ての方に送るスペシャルインタビューです。
今回はプロサッカー選手の長澤和輝さんにインタビューをさせていただきました。
現在は怪我をされ長期離脱中の長澤選手ですが、これまでどうやって怪我を防いでいたのか?今は怪我とどうやって付き合っているのか?今までにどうやって体作りをしてきたのか?についてインタビューをさせていただきました。
将来のことを考えて半月板は縫合手術に
── 手術してから4ヶ月経ちました(2022年7月末にインタビュー実施)。今の怪我の具合はどうでしょうか?
とても順調です。サッカー選手に怪我はつきものなのでしょうがないなと理解はしているものの、早くピッチに戻れるよう復帰に向けてリハビリを頑張っています。
── 今回の手術は少し特殊な形で行ったとお聞きしました。
そうなんです。怪我をしたところは膝にある半月板という軟骨の部分で、着地などの衝撃を吸収する役割などがある部位なんです。昔までの半月板の治療というと基本的に切除してしまうことが多かったみたいなんですが、今回は縫合手術といって縫い合わせる方法で行いました。
── 縫合手術にするとどんなメリットがあるのでしょうか?
衝撃吸収能力をキープできることです。
切除してしまうと、半月板自体が無くなってしまうわけですから衝撃吸収能力が大きく落ちてしまうんですね。切除すると1〜2ヶ月という早い期間で復帰できますが、膝へのダメージは大きくなってしまいます。短期的にはいいかもしれないですが、長い目で見るとダメージが蓄積されて何年後かに膝の痛みを抱えてしまうかもしれません。でも、半月板を縫合して残すと違和感が残る可能性もありますが、衝撃吸収能力をキープできるのでそうなる可能性を減らせます。もちろん切除した方がいい場合もあるため、そこの部分は医師の方やトレーナーの方などと相談して決める必要があると思います。
── というと復帰にも少し時間がかかってしまうのでしょうか?
そうですね。縫合すると5〜6ヶ月くらいかかってしまうのですが、そこはチームが自分のことを欲理解してくれて、縫合手術を選ばせてくれました。
── とても素晴らしいチームですね。
そうとはいったものの、必ず縫合手術が100%正解とも言えないんです。
自分の選手人生としてはこの方がいいと判断したのですが、チームや選手の置かれている状況を考えるなら切除して早く復帰するという選択肢もありですから。そういう中でこの選択をさせてくれたチームには感謝しています。
プロサッカー選手に怪我はつきものですし、スポーツ選手としては怪我をどう乗り越えていくか?というのが、避けられない壁なんだなとも思います。
大きな怪我なくできていたのはトレーナーとの密なコミュニケーション
── これまでに大きな怪我をしたことはありますか?
ドイツに行ってから膝の内側靱帯を怪我したことが今まで一番大きな怪我でした。Jリーグでプレイしてからは小さな怪我はありましたが、大きな怪我をしたことはありませんでしたね。
── 普段どんなケアをしているのですか?
自分でストレッチやマッサージを行っている他にトレーナーさんに見てもらうこともあります。面白いのが選手の主観と客観的なトレーナーのアドバイスがズレていることがあって、選手の主観ではわからない部分があるなと感じました。
例えば、自分の中ではあんまり張りがなく、まだいけるなという感覚があっても、実際に触ってもらったら凄く張っていたことがありました。そこをほぐしてもらったらよくなったこともありました。
もちろん選手の気持ちやチーム状況なども考えながらやっていかなければならないので、色々難しくなるのですが、トレーナーとコミュニケーションをとりながら総合的に判断をしていく必要がありますね。そういったトレーナーとの密なコミュニケーションがとれたことが今まで怪我が少なくやれていた要因だと思います。
── 個人の体のクセのようなのもありますよね。
あります。こういう使い方をしていると肉離れを起こしやすいとか、だから自分の体のクセを見てくれる人がいるといいなのかなって思います。
トレーナーがいない大学時代
J1横浜F・マリノスに所属する仲川輝人選手らと映る長澤選手
── トレーナーがいない学校も数多くあります。長澤選手が所属していた専修大学はいかがでしたか?
専修大学時代にトレーナーはいませんでした。なので自分で勉強して、練習後やお風呂上がりにストレッチをしていたり、ゴルフボールやソフトボールをマッサージボール代わりにして自分でケアをする時間を作っていました。
トレーナーがいなくても工夫をすればやりようもあると思いますし、学生のうちから習慣を作っていくと選手寿命も長くなると思います。何よりそういう風に自分の体と会話する時間を作るってことが、スポーツ選手をやる上では大切なのかな?と思います。
── どうやってそういった知識を勉強しましたか?
専修大には体育会の学生が入られるスポーツウェルネスプログラムっていう、スポーツに特化した授業をとれるカリキュラムがあったんです。僕は経営学部だったんですが、スポーツ推薦で入学したので受講対象になっていたんですね。そのカリキュラムをとって勉強しました。
※THE BUILD Media編集部が確認したところ(2022年現在)、同じ内容でプログラムがあるそうです!
関連資料 : 専修大学≪経営学部≫R4新入生ガイダンス日程表.pdf
── スポーツウェルネスプログラムではどのような勉強をしましたか?
体に関することだけでなく、スポーツ心理学だったり、スポーツ社会学だったりスポーツに関わる学問を総合的に学べました。そういった部分がプレイヤーを行いながら、外からの知識を学ぶことができ凄く良かったです。
凄く大きかったのが様々な競技のトップ選手と交流できたことです。例えば、専修大学のレスリング部はとても強くてトップ選手が練習に来ることもあるんです。そこに練習に来ていた伊調馨選手がサッカー部のトレーニングに来てくれたことがあったりしました。確か一回僕投げられたことがあります笑。
他にもラグビー部やバスケ部などと交流があったり、そういうレベルの高い選手達と集まって情報交換ができるっていうところは大きいかったです。Bリーグでアシスト王をとった宇都直輝選手(現バンビシャス奈良)なんかも同じゼミでクラスメイトなんですよ。二人でごはん食べに行ったり、話ができる。そういった意味でサッカーだけやっていたら他の競技と繋がる機会はなかったので良かったです。
── 今でも大学時代の友人とは連絡を取るんですか?
B2バンビシャス奈良に所属する宇都 直輝選手と映る長澤選手
もう卒業して10年くらい経ってますけど、たまに集まってそれぞれの業界とかの話をしたりしますね。大人になってからのコミュニティーにもなって色々な物の見方をしれるという意味でとても良いです。
体作りについて
── 長澤選手は筋肉トレーニングをしているんですか?
筋トレはしていますけど、ただ体を大きくするために行っているような感じではないですね。
単純に大きくしてしまうと体が重くなっただけで終わってしまいそうで…。そこはそれぞれの特性に合わせてトレーニングをする必要があるんじゃないかな?と思います。
例えばセンターバックだったら外国籍の大きい選手にも対等にぶつかり合わないといけませんから筋トレしないと押し負けちゃったりすることが多いから必要だと思います。
その一方で、ウイングやドリブラーはセンターバックほど筋トレに力を入れるよりも、瞬発力を鍛えるアジリティトレーニングに時間を割いていく必要があったりするかもしれません。
必ず筋トレはやらなければいけないではなく、自分のポジションだったりプレイスタイルだったり求められる物によって体を作っていくことが必要になると思います。
── 長澤選手は運動量が豊富なプレイが持ち味ですが、長く走り続けるためのポイントなどはありますか?
まずはコンディションが大切ですね。
コンディションが良くないと長時間走り続けられないので。なのでトレーニングの後にゆっくりとジョギングなどをしてコンディションを整えたりしています。
他にも試合に出続けられているとしっかりと負荷がかかってくるのでコンディションが自然と整ってきますね。逆に試合に出られないときはプラスアルファでトレーニングしたりとか、状況によって使い分けています。
学生に凄く言いたいことは「自分の中のキャパシティを知っていく」ということが大切だということです。例えば、学生時代はどれくらいやったらやりすぎなのか?みたいなところを自分の中で研究しててました。家から練習場まで4kmくらいあるんですが、朝練前に走って通った後に、1時間くらい自主トレをします。その自主トレ自体でも20〜30分くらい走り続けるトレーニングをします。それをやって、ゲーム形式のトレーニングやって、走って帰るっている。こうやって自分の体にどれくらい負荷をかけられるか?を試していました。
それを週5回くらいやって週末の試合に臨んだんですが、全然走れませんでした笑。
これはやりすぎだから週3日にして1か月程度続けたんですね。そうなると試合でも後半のキツい時間帯でも他の選手よりも走れるようになって、余裕を持ってプレイできるからプレーの幅も広がってきたみたいなことがあったんです。
それが正しいかどうかはわからないけど、そういう「自分のキャパシティを知る」ことは若い内にとても大切だなって感じたところで凄くいい勉強になりました。
── ドイツと日本でトレーニングの違いはありましたか?
違いますね。
ドイツでは育成年代からすごくウェイトトレーニングをしていたので体もがっしりしています。一方日本では俊敏性だったり持久的に動いていく部分が大切にされています。
どちらがいいかとかではなく、お互いそれでいいと思うんです。
だからこそ、どの国や環境に行ってもそこにちゃんと合わせられることが大切なのかと思います。
食事について
── 食事管理はどうされていますか?
食事管理についてもやっぱり人それぞれの部分があります。管理栄養士に食べた写真を全て送ったりする徹底管理する選手もいますし、もうちょっと緩い選手もいます。
僕はそこまでやると精神的なストレスが大きいのでやりませんけど、自分に合ったスタイルを探してやるのがいいんじゃないかと思います。
── 体作りには栄養が大切ですが長澤選手はサプリメントなどをとっていますか?
サプリを飲んではいますが、サプリって難しいですよね。
プロテイン等もある程度はとっていますけど、変な物をとってしまうとドーピングの問題が出てきたりしますから。
もちろん栄養補助食品的なサポート食品は大切なんですが、まずは三食しっかりとると言うことが大原則だと思います。
だからいかにそれをできるようにその知識を伸ばしたり実践していくと言うことが学生年代では特に大切だと思います。そういった知識を得ながらプロテインなどのサプリで補完していくっていうのが一番いいんだと思います。
例えば、トレーニング直後に栄養摂取したくても普通の食事じゃ無理じゃないですか。そういうときにプロテインを使ったりするのは積極的にやった方がいいと思います。
── とは言ったものの、メインは食事が大切ですよね。
はい、食事だと思いますね。
状況や年齢によっても摂る物を変えていく必要もあると思うんですよ。
例えば、僕が学生の時に晩ご飯でお米を二合とか食べてたんですよ。それにプラスして1日5食食べたりしてたりしました。でも、年齢的なこともあるんですが全然体重は増えませんでした。それくらいカロリーを消費しているから。しかし、僕は今年31歳になるんですが、それと同じ栄養摂取の仕方をすると運動量に見合わずにどんどん太ってしまうと思います。だから状況に合わせて食事の仕方も変えなきゃいけないと思います。 ただ、学生の時はどんどん食べてみて、自分の体にあった食事を選んでいくことが大切だと思います。
── やはりそうやって、どんどんチャレンジしていって、自分自身のキャパ(限界)がどこにあるのか?それを少しづつ伸ばしていくことが大切なのですね。
おまけ : 長澤選手の食事レシピを大公開!
・試合6時間前
普通の食事でOK。僕はこんな感じの料理を食べてます!
・試合3時間前
うどん、パスタ(お腹にたまらない味付け)、ささみ肉、サーモン、おにぎり、バナナ
・試合直前
エネルギーゼリー、バナナ
・試合後
リカバリーゼリー(大塚製薬)、おにぎり、水分(イオンウォーター)
※体の疲労をとるために食事を少なめにする選手もいます。参考までに!
今回はお忙しい中、貴重なインタビューをありがとうございました。
本メディアの読者にとって、とても有益な情報ばかりだったかと思います。是非何度も読み返していただけたらと思います。
怪我から復帰してまた活躍されている長澤選手の姿をお目にかかれますのをTHE BUILD Media編集部一同楽しみにしております!
投稿者プロフィール
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●記事作成
THE BUILD MEDIA編集部
●監修
・横川 尚隆(ヨコカワ ナオタカ)
・パーソナルジムトレーナー
・プロスポーツ選手等
※記事により監修者が異なります。
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